CTOの籔下です。
7月10日に開催されたAIDD Lab Meet Up #1で登壇しました。AIDD Labは、生まれたてのコミュニティで、「AIが当たり前に組み込まれる開発プロセス」を探求・共有する場 として発足しました。こちらのコミュニティには流れで私も運営に携わらせていただくことになりました。
本meetupでは「⼈とAIが共創するエンジニアリングの実践と未来」というタイトルで登壇してきました。発表は「AIエージェント活用事例」と「近い未来の展望」の2つの柱でお話ししました。
前半ではTalentXで試行した5つのユースケースを、後半ではツール選定やエンジニア像のアップデートという“未来の問い”を投げかけています。AIエージェント活用事例に関しては、まだトライ中やうまく行っていない事例なども紹介しているので、本記事では触れずに、気になる方は資料を見ていただければと思います。
発表後半で強調した3つの視点
登壇の後半では、「AI×開発」が今後どう進化するかというテーマで3つの論点を提示しました。ここからは、その要点をまとめていきます。
“Vibe / Agentic Coding” が主流ワークフローになる
現在、自然言語で要件を伝えるだけでAIがコードを生成する “Vibe Coding” が急速にビジネス現場へ浸透しつつあります。
Gartnerも 「向こう3年で新規ビジネスソフトの40%がAI支援で書かれる」 と予測しています。
‘Vibe Coding’ Has Arrived for Businesses
さらに、自律的にタスクを分解し実装まで回す “Agentic Coding” 領域への投資も活発です。
最近では、WindsurfのCEO など数名の主要メンバーが Google DeepMindに移籍し話題になった直後、Cognition(AI エージェント Devin の開発元)がWindsurfを買収すると発表しました。
この一連の動きは、エージェント型 IDE/コーディングツールをめぐる“タレント&プロダクト争奪戦”の激化を象徴しています。
エンジニアの役割は “AI 翻訳者” へシフト?
コードを書く行為そのものはAIが代替しつつありますが、「要求を言語化し、AIのアウトプットをビジネス価値に接続する」という橋渡しは依然として人間の仕事です。 マイクロソフト共同創業者 Bill Gates 氏も「100年後もプログラミングは人の職業として残る」と発言し、創造的判断や品質保証の重要性を強調しています。
今後求められるスキルは、仕様設計やガバナンスだけでなく、AIに“良い文脈”を与えるプロンプト設計力とアウトプットをレビュー・改善する評価力かもしれません。
“乗り換え前提” のツール/プロセス設計
AIツールは高頻度で最適解が更新されます。「学習コスト < 乗り換えコスト」になった瞬間にスイッチできる柔軟さが、組織の生産性を左右します。
既に手に馴染んでいるツールにある程度満足できている場合でも、より良いツールの出現により周りとの比較では生産性が上がっていないという状況にすぐに陥るような状況です。
新しいツールが登場した際には、まず自分で試して評価し、より優れたものがあれば積極的に乗り換える姿勢が不可欠だと感じています。
たとえば、CLIベースのエージェントとして登場したClaude Codeや、要件定義から設計まで一貫した体験を提供するKiroなど、課題に応じた新しいツールが次々にリリースされています。今後は、目的に合わせて最適なツールを選択し、必要に応じて複数のツールを組み合わせることが当たり前になるかも知れません。
まとめ
生成AIは “魔法の杖” ではなく “共創パートナー” です。
- AIを活かす組織文化
- 人とAIの責任分担
- 急速なツール進化に適応する仕組み
これらを整えられるチームこそが、これからの開発競争を制すると確信しています。ぜひ皆さんの現場でも、AI前提のプロセスを設計し、互いの学びをアップデートし合いましょう。
またAIDD Labでは、今回のような最新事例や失敗談を “転び方も含めて共有” する文化を大切にしています。次回イベントへの参加方法は connpass グループページをご覧ください。